WF-1000XM3のノイズキャンセリング性能

Posted on 2020-06-22

今更ながらWF-1000XM3を買ったのでノイズキャンセリング機能についてわかったことをまとめます.

WF-1000XM3とは

まず,WF-1000XM3について軽く書きます.知っている人は読み飛ばしてください.

WF-1000XM3はSONYが1年くらい前,2019年7月に出した左右分離型のイヤホンです. 半年くらいあとに出たAirPods Proとよく比較されていて,ノイズキャンセリング性能はAirPods Proが上,音質はWF-1000XM3が上だと一般的には言われています.

公式サイトはこちら

WF-1000XM3のノイズキャンセリングができること,できないこと

パッケージにはWF-1000XM3は左右分離型イヤホンの中でノイズキャンセリング性能が最高級だと書かれていました. しかし,「最高性能」のWF-1000XM3にもできないことはあります.ここでは,WF-1000XM3のノイズキャンセリングの特性から,強い局面とあまり強くない局面を紹介します.

できないこと

まずはできないことから書きます.

  1. 机を叩くなどのピンクノイズ的な特性の音をキャンセルできない
  2. 戦闘機の騒音など,大きすぎる音はキャンセルできない
  3. 特定の方向からの音をキャンセルできない

できないことをざっくりと箇条書きすると,上記の3点が挙げられます.それぞれ説明します.

まず,1についてですが,これはおそらくノイズキャンセリングの仕組み的に難しいのだろうと考えています.ノイズキャンセリングはよくある説明だとマイクで集音した音と逆位相の音を当てて相殺することでノイズを低減する仕組みであると説明されています.その説明のとおりであれば,マイクの集音性能にノイズキャンセリング性能がそのまま左右されることになります. 定常的に入ってくる音にマイクが最適化されているとき,ピンクノイズの音量はたいていかなり大きな音になります.よくあるZoomメーティング等で誰かの同居人が料理している音が入ってしまうのはこのためだと思います.マイクそのものの特性が寄与しているような気もしますが,詳しくないので説明は諦めます.大きな音になってしまったピンクノイズは,逆位相をかけたとしても打ち消しきれずに一部の成分が残り,結局キャンセルできないのではないでしょうか.

続いて,2についてです.これは上述した内容とかぶる部分が大きいですが,逆位相をかけてもイヤホンのスピーカが出力できる音の大きさはたかが知れています.戦闘機の騒音や,ホームにいるときの電車の音のキャンセルは期待しないほうが良いと思います.

最後に,3についてです.これは完全にマイクの指向性に寄与してくる問題ですが,このイヤホンの場合,左右から聞こえてくる音が最もよくキャンセルされ,前後からの音のキャンセルはあまり期待しないほうが良いというほどの出来になっています.すべての範囲の音を集音できる特性を持ったマイクを作るためにはおそらくこの小ささでは難しいのでしょう. うるさいと感じた場合は,音源を自分の左右に配置することで解決するかもしれません.

できること

続いて,できることについてです.

  1. エアコンの動作音,換気扇の音といった定常的な音はすべて消える
  2. できないことに書いたようなキャンセルされない音は音楽の視聴に支障を来さない程度にキャンセルされる
  3. ノイズキャンセリング特有のホワイトノイズで耳鳴りが低減する

まずは1について書きます.あくまでも私の定性的な調査による結果ですが,エアコンの動作音や換気扇の音といった常に同じような音が出ているものはちゃんと消えます.これは,音楽を再生せずに,ノイズキャンセリングのみで耳にはめているだけ(耳栓状態)でも消えるので相当協力なノイズキャンセリングが搭載されていることがわかります.

つづいて,2についてですが,あくまで上述した「できないこと」は耳栓状態で使ったときに気になったことであって,音楽や映像コンテンツの視聴には問題がないくらいにはノイズキャンセリングが聞きます.ノイズキャンセリングのないイヤホンでは駅のホームでアニメを見ることは電車がうるさすぎるため,叶いませんが,このイヤホンであれば問題なく視聴可能です.また,ドライヤーで髪を乾かしながアニメを見ることさえ可能でした.

最後に,3についてです.私は中学生くらいの頃からイヤホンを多用していたせいか,耳鳴りが非常に酷く,ノイズキャンセリングがついていないイヤホン等で耳を塞ぐと常に「キーン」という音が頭を支配していました. しかしながら,このイヤホンのノイズキャンセリング機能を使用すると耳鳴りが消えるのです.耳鳴りが外部の要因によって消えることはありえないので,おかしな話ですが,これはノイズキャンセリング特有のホワイトノイズが耳鳴りが気にならない程度までの音でなっているということになります.ホワイトノイズを気にする人は非常に気になる音だと思いますが,これがベースだと考えれば,全域で鳴っているようなホワイトノイズなので,個人的にはあまり気になりませんでした.少なくとも,耳鳴りよりは幾分マシです.

まとめ

WF-1000XM3は発売から1年が経っており,すでにAirPods Proに対して劣勢感が否めないですが,Apple製品に縛られない生き方を選択するならば,今でも十分選択肢に入る良いイヤホンだと思います.

リモートワークが増えてきた昨今,イヤホンを新調する人もいるかと思いますが,その方々の参考になれば幸いです.