はじめに
この話はLet’s noteでArch Linux運用してみたの続きみたいな話です.できましたら読まれていない方は先にこの記事を読まれることをおすすめします.
前回はLet’s note CF-SX3にArch Linuxをインストールしていましたが,今回はVAIO Z(2016)にArch Linuxをインストールして運用してみました.前回,
VAIO Zはキーボード側には熱が来ませんが,裏側が非常に熱くなるのでラップトップと言いつつも膝の上での使用には耐えません.
などと言っていましたが,実は熱くなるのはWindows 10が原因なのではないか,という疑惑が出てきたので,試しにArch Linuxをインストールし,試してみることにしました.
VAIO Z(2016)について
VAIO株式会社は先日,5年越しに新しいVAIO Zをリリースしましたが,今回使用するVAIO Zは一つ型落ちのモデルです.私が大学に入ったときに買ったコンピュータで,ちょうど発売が開始したときに購入しました.初期ロット品ですが,特に不具合もなく5年間使用し続けています.
性能としては,
- CPU: Core i7 6567U
- メモリ: 8GB
- SSD: M.2接続,256GB
といった感じで少し設計のふるさを感じさせる構成になっています.
このパソコンはずっとメインパソコンとして使用していた上にSSDの容量が小さいため,Windows 10専用PCとして使用していましたが,2年前にMacBook Proを購入してからほとんど使っていなかったので,思い切ってWindowsのいらないファイルとアプリケーションを消しまくり,Arch Linuxとのデュアルブートにしてみました.
Arch Linuxのインストール
まずはArch Linuxのインストールについて記載します.
構築した環境は前回同様dotfilesに公開しているものを使いました.
Let’s noteではスピーカーの問題が起こりましたが,VAIO Zではなんの問題も起こらずにすんなりとインストールが完了しました. VAIO Zが登場した当時はUEFI BIOSが出てきたばかりという感じで,Arch LinuxのUEFI対応も微妙だった記憶がありますが,今のArch Linuxでは完全に対応されていて,UEFI関連の設定も非常に簡単でした.
ポジティブな感想
とりあえずインストールは簡単にできたので,ポジティブな感想から記載します.
以下ではLet’s noteとの比較が出ていますが,VAIO Z(2016)とCF-SX3では発売時期が2年ほど違うため,当たり前のように違うと思います.新しいLet’s noteではここで比較したような欠点はなくなっている可能性もあります.
思ったよりも熱くならない
これが一番大きいですが,熱くなりません.前回はVAIO Zは熱くなってまともに作業ができない,みたいな話を書きましたが,実はWindows 10が熱問題の原因である可能性が高いです.
ちなみに,VAIO ZではHaskell Language ServerをインストールしているときでもWindows 10で全開にパフォーマンスを発揮しているときに比べて熱も少ないし,ファンノイズも少なかったです.これはWindows 10で使用できる「VAIOの設定」で使用可能なVAIO特有のTDP上限の引き上げ機能を使用できないというのも大きなポイントだとは思います.
ただし,「VAIOの設定」にて設定を「静音」にしていてもArch Linux使用時よりも温度が高くなったり,大きなファンノイズが出たりするので,別のところに原因があることも確かだと思います.
個人的には,Windows 10のほうが視覚効果が非常に多く多用されていることが大きな要因なのではないかと見ています.Windowsの視覚効果はGPUによるハードウェアアクセラレーションが効きますが,これを使用することで,ウィンドウの描画をするためにGPUを使用するため,CPU使用率は大して高くないのに,温度だけは高い,みたいな状況が起きやすいと考えています.
特に,私のArch Linux環境ではXMonadを使用しており,Desktop Environmentを使用していないため,視覚効果はほとんどなく,普段からGPUが使用されるような環境ではありません.また,この環境でもっとも温度が上がるのはYouTubeで動画を再生しているときであることからも,GPUによる発熱は非常に大きいものと考えています.
ディスプレイがきれい
これはLet’s noteと比べて,ということではありますが,ディスプレイがきれいです.13インチでFHDのため,DPIも十分に高いですし,IPS液晶のため,視野角も十分に高く,コントラスト比も高いです.ビジネスPCではノングレアでTN液晶のため非常に画質が悪い,ということがよくあると思いますが,VAIO Zは高いだけあってビジネスPCなのにちゃんとした液晶が搭載されていてとても快適です.
スピーカーが良い
スピーカーもLet’s noteと比較すると良いです. 流石にiPad ProやMacBook Proと比較するとチープですが,ステレオなので立体感も十分出ますし,何より音量がとても大きいです.
確か公式ページに「大きな会議室でも使用できるように」といった内容が書かれていた記憶がありますが,確かに音量はバカでかいです.
ストレージが高速
これもLet’s noteと比較して,ということではありますが,ストレージがSSDのため,高速です.
まず起動するのに10秒かかりません.古いコンピュータであればスリープ復帰するまでの時間でこのVAIO ZであればArch Linuxが起動します.(なお,ログインシェルにはLightDMを使用しています)
重量が軽い,薄い
VAIO Zは重量が1.17kgと軽量です.実はMacBook Proは1.5kgほどありますので,MacBook Proに買い替えたときはカバンに入れるとおもすぎて毎日憂鬱でした.
重量が軽いと家の中の移動でも楽なので嬉しいです.
また,薄いので,カバンに入れて持ち運ぶ際にも重宝すると思います.
ネガティブな感想
続いて,ネガティブな感想を書きます.
電池の持ちが悪い
5年間使用してへたっているというのもあるとは思いますが,Let’s noteと比較して電池の持ちが悪いです.
公式サイトでは20時間持つということになっています.流石に実用ではこれの大体半分くらいで10時間位持つと考えるのが普通だと思いますが,おそらく今回の構成では6〜7時間ほどしか持っていないです.YouTubeを見ると特に電池が早く減り,4〜5時間位でなくなります.
おそらくLet’s noteより画面サイズが大きいと言うのと,Let’s noteでは大きい方のバッテリーを使用していたため,比較的電池持ちが悪いということになってしまうのだと思います.
でかい
13.3インチのノートパソコンですが,設計が古いため,挟ベゼル設計ではありません.そのため,全体的なサイズが大きいです.
サイズが大きいと食卓などでパソコンをやりながらご飯を食べると邪魔くさいので,もう少し小さいと便利だと思います.
まとめ
VAIO ZにArch Linuxをインストールして運用して見たところ,意外と発熱もしないし単純に性能が良いので,Let’s noteはもはや最近は使ってないですw
Windows 11の対応ハードにも該当しないですし,おそらくVAIO Z(2016)でWindows 10を使い続けるのは厳しい時代になってしまったのだと思います.これからはこのマシンにはArch Linux専用機として生きながらえてもらうと思います.